『AIR』
原作:Key/ビジュアルアーツ
監督:石原立也
キャラクター原案:樋上いたる(ビジュアルアーツ)

脚本:志茂文彦
絵コンテ、演出:北之原孝将、山本寛、武本康弘、石原立也、荒谷朋恵、三好一郎
作画監督:米田光良、池田和美、池田晶子、門脇聡、荒谷朋恵

オープニング:「鳥の詩」Lia 作詞:麻枝准
エンディング:「Farewell song」Lia 作詞:麻枝准
挿 入 歌 :「青空」Lia

2005,1/6〜 BS-i (木)24:30 (全13話)
国崎往人、からす/そら:小野大輔−−『AIR』国崎往人、からす/そら
                  『涼宮ハルヒの憂鬱』古泉一樹
                  『ドラゴノーツ』カミシナ・ジン
                  『黒執事』セバスチャン・ミカエリス
                  『宇宙戦艦ヤマト2199』古代進
                  『黒子のバスケ』緑間真太郎
                  『ばらかもん』半田清舟
                  『WORKING!!』佐藤潤
                  『進撃の巨人』エルヴィン・スミス

神尾観鈴:川上とも子−−『ヒカルの碁』進藤ヒカル
            『ちっちゃな雪使いシュガー』シュガー
            『Kanon』倉田佐祐理
            『AIR』神尾観鈴
            『ミッドナイトホラースクール』リディー,OP&ED歌
            『デ・ジ・キャラットにょ』華麗田さん
            『ケロロ軍曹』日向冬樹
            『うえきの法則』森あい
            『エルフェンリート』マリコ(37番)
            『史上最強の弟子 ケンイチ』風林寺美羽
            『ARIA』アテナ

霧島佳乃:岡本麻見−−『センチメンタル・ジャーニー』星野明日香
           『AIR』霧島佳乃

遠野美凪:柚木涼香−−『ミルモでポン』ミモモ
           『カードキャプターさくら』秋月奈久留
           『AIR』遠野美凪
           『舞-乙HiME』ハルカ・アーミテージ
           『魔法少女リリカルなのはA's』シャマル
           『うたわれるもの』エルルゥ
           『武装錬金』津村斗貴子
           『ギガンティックフォーミュラ』李走影

神尾晴子:久川綾−−『セーラームーン』水野亜美
          『ああっ女神さまっ』スクルド
          『あずまんが大王』にゃも(黒沢みなも)
          『カードキャプターさくら』ケロちゃん
          『To Heart』保科智子
          『AIR』神尾晴子
          『十二國記』中嶋陽子
          『交響詩篇エウレカセブン』レイ
          『BLEACH』卯ノ花烈

霧島聖:冬馬由美−−『ああっ女神さまっ』ウルド
          『フランダースの犬』アロア
          『まじかる☆タルるートくん』河合伊代菜
          『うしおととら』井上真由子
          『AIR』霧島聖
          『住めば都のコスモス荘』マリリン・モロロン
          『英國戀物語エマ』エマ
          『成恵の世界』高速護衛艦春名
          『カードキャプターさくら』スピネル・サン

みちる:田村ゆかり−−『Kanon』川澄舞
           『AIR』みちる
           『クラナド』春原芽衣
           『ギャラクシーエンジェル』蘭花・フランボワーズ
           『魔法少女リリカルなのは』高町なのは
           『D.C.〜ダ・カーポ〜』芳乃さくら
           『極上生徒会』蘭堂りの
           『かしまし』来栖とまり
           『おとぎ銃士 赤ずきん』赤ずきん
           『アイドルマスター』水瀬伊織
           『刀語』とがめ

ポテト、女の子:今野宏美−−『奇鋼仙女ロウラン』ロウラン
              『らき☆すた』小神あきら
              『しゅごキャラ!』イル
              『空を見上げる少女の瞳に映る世界』今村スズメ
              『アマガミSS』中多紗江
              『日常』はかせ

神奈備命:西村ちなみ−−『だぁ!だぁ!だぁ!』ももか
            『おじゃる丸』おじゃる丸
            『朝霧の巫女』白石菊里
            『金色のガッシュベル』ココ
            『円盤皇女ワるきゅーレ』ハイドラ
            『十兵衛ちゃんA』大猿
            『ARIA』アリア社長

柳也:神奈延年−−『ゲットバッカーズ』美堂蛮
         『東京ミュウミュウ』パイ

裏葉:井上喜久子−−『ああっ女神さまっ』ベルダンディ
          『不思議の海のナディア』エレクトラ、イコリーナ
          『らんま1/2』天道かすみ
          『Gungrave』マリア
          『DearS』芳峰密香
          『奥様は魔法少女』浅羽嬉子(アニエス・ベル)
          『びんちょうタン』ナレーションのおねえタン
          『マクロスFRONTIER』グレイス・オコナー
          『クラナド』古河早苗
          『鋼の錬金術師』ラスト

橘敬介:津田健次郎−−『テニスの王子様』乾貞治
           『ガラスの艦隊』疾風のクレオ
           『Saint October』クルツ社長
           『魔王様、リトライ!』九内伯斗
           『コップクラフト』ケイ・マトバ
           『アフリカのサラリーマン』トカゲ

男の子:小平有希−−『半分の月がのぼる空』谷崎亜希子
          『二十面相の娘』ミカ

男の子:豊後敦子

女の子:落合祐里香−−『双恋』雛菊らら
           『ToHeart2』柚原このみ
           『ヒャッコ』早乙女雀

美凪の母:山本百合子−−『新・魔法使いサリー』夢野サリー
            『魔法使いサリー』夢野サリー
            『ハロー!サンディベル』サンディベル
            『北斗の拳』ユリア
            『まじかる☆タルるートくん』リあキナカーモ
            『夢戦士ウィングマン』森本桃子
            『レディジョージィ』ジョージィ

志野さいか、志野まいか:金田朋子−−『あずまんが大王』美浜ちよ
                  『花右京メイド隊』シンシア/グレイス
                  『GIRLSブラボー』えび/えび少女
                  『マジカノ』吉川冬乃
                  『ケロロ軍曹』ラビー
                  『AIR』志野さいか、志野まいか
                  『貧乏姉妹物語』山田あす
                  『BLEACH』ネル
                  『BLACK LAGOON』グレーテル

女生徒A:國府田マリ子−−『Kanon』水瀬名雪
             『まもって守護月天!』守護月天シャオリン
             『ダーティペアFLASH』ユリ
             『ママレード・ボーイ』小石川光希
             『DOKI DOKIプリティリーグ』野々原千晶

女生徒B:堀江由衣−−『Kanon』月宮あゆ
           『To Heart』マルチ
           『陸上防衛隊まおちゃん』丸山シルヴィア
           『十兵衛ちゃんA』菜ノ花自由
           『いぬかみっ!』ようこ
           『魔法先生ネギま!』佐々木まき絵
           『かしまし』神泉やす菜
           『まなびストレート!』天宮学美
           『ながされて藍蘭島』すず
           『ひぐらしのなく頃に』羽入
           『とらドラ!』櫛枝実乃梨
           『うみねこのなく頃に』右代宮真里亞
           『化物語』羽川翼

女生徒C:飯塚雅弓−−『Kanon』沢渡真琴
           『To Heart』松原葵
           『ポケットモンスター』カスミ
           『輝く季節へ』PS 長森端佳
           『円盤皇女ワるきゅーレ』ライネ

生徒達:福井信介

生徒達:小林康介

生徒達:岡崎雄飛

生徒達:石井智

佳乃の母:萩森徇子−−『クレヨンしんちゃん』ネネママ
           『AIR』佳乃の母
           『美少女戦士セーラームーン』ペスペス

白穂:牧島有希−−『センチメンタル(シリーズ)』保坂美由紀
         『ときメモ Only Love』天宮小百合

神社の管理人:樋口宏澄

宮司:宇垣秀成−−『エリア88』津雲善三
         『カレイドスター』苗木野力

役人:原田正夫−−『鋼の錬金術師』デニー・ブロッシュ

往人の母:永島由子−−『bps』本木紗英
           『PEACE MAKER 鐵』山崎歩
           『魔法騎士レイアース』カルディナ
           『DOKI DOKI プリティリーグ』PS 河合弘子
           『下級生2』若井みさき
           『BECK』桃子先生

幼い姉妹、女の子、男の子、生徒:田中かほり−−『なるたる』小沢さとみ

TVの主役:阪口大助−−『エアマスター』三島麗一
            『成恵の世界』飯塚和人
            『ガンバリスト!駿』藤巻駿
            『メルヘブン』ジャック
            『N・H・Kにようこそ!』山崎薫
            『クラナド』春原陽平
            『もやしもん』沢木直保
            『銀魂』志村新八

師匠:長嶝高士−−『うえきの法則』テンコ(大)
         『BLOOD+』ルイス
         『イタズラなKiss』入江重樹
         『鬼灯の冷徹』閻魔大王

美凪の父:戸谷公次−−『鋼の錬金術師』マルコー

八百比丘尼:潘恵子−−『宇宙戦艦ヤマト』サーシャ
           『機動戦士ガンダム、Z』ララァ・スン
           『サザエさん』伊佐坂うきえ(初代)
           『美少女戦士セーラームーン』ルナ
           『ふしぎな島のフローネ』フローネ
           『新竹取物語1000年女王』弥生
           『ふしぎ星の☆ふたご姫』ムーンマリア

追手:藤井啓輔

僧兵:古澤徹−−『クロスゲーム』大門秀悟

僧兵:徳山靖彦−−『ラブ★コン』中尾平吉

僧兵:服巻浩司−−『エリア88』ラウンデル

僧兵:龍谷修武

知徳法師:永井一郎−−『サザエさん』磯野波平
           『宇宙戦艦ヤマト』佐渡酒造、徳川彦佐衛門
           『うる星やつら』錯乱坊、CAO−2
           『機動戦士ガンダム』ナレーション
           『じゃりん子チエ』小鉄
           『DORAGON BALL』カリン、鶴仙人
           『ピュンピュン丸』何田勘太夫
           『未来少年コナン』ダイス
           『YAWARA!』猪熊滋悟郎
           『らんま1/2』八方斎
           『紅い牙ブルー・ソネット』メレケス

兵:森岳志

兵:平井啓二−−『ごくせん』テツ
        『ふしぎ星のふたご姫』大臣、教頭

兵:稲田徹−−『DANDOH!!』赤野拓也
       『魁!クロマティ高校』前田彰
       『ジパング』角松洋介
       『ツバサ・クロニクル』黒鋼
       『こばと。』いおりょぎ

法師:岩尾万太郎

僧:西脇保

女の子:相沢舞−−『魔法先生ネギま!』村上夏美
         『空を見上げる少女の瞳に映る世界』日高ユメミ
         『日常』長野原みお

まいかの母、男の子:大浦冬華−−『愛してるぜベイベ』元木舞
                『メジャーMAJOR』佐藤寿也(5歳)
                『ふたつのスピカ』おうみ圭
                『怪物王女』ヒロ
                『絶対可憐チルドレン』宿木明

少年:矢島晶子−−『クレヨンしんちゃん』野原しんのすけ
         『フィギュア17 つばさ&ヒカル』椎名つばさ
         『ふたつのスピカ』鴨川アスミ
         『ふたりはプリキュア』ミップル
         『ガラスの仮面』姫川亜弓
         『BLOOD+』宮城リク
         『BLUE DROP』若竹マリ
         『シゴフミ』文伽
         『ケロロ軍曹』アリサ・サザンクロス

少女:野中藍−−『瓶詰妖精』ほろろ
        『宇宙のステルヴィア』片瀬志麻
        『ぱにぽにだっしゅ!』一条さん
        『魔法先生ネギま!』近衛木乃香
        『びんちょうタン』びんちょうタン
        『さよなら絶望先生』風浦可符香
        『クラナド』伊吹風子
        『宇宙をかける少女』イモちゃん
        『電波女と青春男』藤和女々
「鍵」の放つ“鬱ゲー・問題作”の金字塔が遂にアニメ化。

思えばこれがゲームとして登場する前はこの手の物(Keyなら「one」とか「kanon」
とか)は“感動系”とか呼ばれてて、確かに途中辛い展開もあったけど最終的には
ハッピーエンドが有ったんですよ。

でもこの「AIR」には厳然たるハッピーエンドが無い・・・。
いや、確かに親子の絆を得た観鈴と晴子はそれ迄より幸せなひとときを歩みだし
たけど、その道が見えた時に観鈴の生涯が「楽しい想い出と絆の確信」だけを残
して終わってしまうなんて。


それとこの作品は始めから第9話迄往人視点で進んできたのに、その後往人はキ
ャラとしての存在価値がなくなり、彼を通してバラ蒔かれた複線らしい過去と消
え方をしたのにそれが何にも生きていなかった事に激しい違和感を覚えました。

どうせ消すキャラならなんで柳也の傷のフラッシュバックや、あんな超自然的消
え方をさせたのか?
あんな消え方をしたら再度超自然的な存在として物語りの鍵として働く事を期待
させます(もしあの作品で観鈴を救える事が出来る存在があるのなら、彼だけだ
った筈なのに。)が、実際そうではないばかりか、それまで一人称視点(視聴者
視点)だった彼の存在自体が回収されないという状況になっていました。

それと観鈴と神奈の関係にしても「観鈴がその女の子を助ける」と言った発言や
柳也と往人の関係(過去の事実)から、「神奈を救う」方向に展開するかと思っ
たけど、実際はその後一切神奈には触れられずに、「病気の娘と母親」にだけ焦
点が移って行ってしまいました。


この作品の不快な点はその他幾らでもあるんだけど、その原因は二人のライター
(鈴本と麻枝)の連携が取れてなく、しかもメインライターの麻枝准のパートだ
けでもかなり支離滅裂な展開となっている為「一本の流れ」としては明らかに失
敗作。破綻を来していると言えます。

元々麻枝准のシナリオはいつも“理由”がなくて“状況”が存在する事が多く、
それが“展開”になって行っちゃうもんで理解不能なビジュアルの羅列になる為
複線らしい物がすっ飛ばされちゃったり、混沌とした精神世界に逝っちゃったり
と、付いて行けない処が多々あるんですが、今回も多くのかなり大事な部分で複
線めいた事があるのにそれを無視した展開になっており、まさに“場面と状況”
ビジュアルの羅列に終始していた様に感じました。

この様に一本の作品として守られるべき【因果律】を無視した作品は、通常は【
予定調和】に慣れている読者にとってかなり“気持ち悪い”作品として受け止め
られ、それが故に物議を醸した『問題作』になったのでしょう。
(Keyさんも同人誌じゃないんだからライター任せにしないで、あの味を残し
 つつ上手く纏めさせてほしいなぁ。と思います。)


しかし“問題作の金字塔”として残った理由はそれだけでは有りません。
それだけ皆を惹き付ける物が有りました。
キャラの個性が凄い、情動が凄い、演出が凄い。
そしてアニメとしては絵が凄い!! 声優が凄い!!
これらは確かに超一流『名作』のできでした。

特にアニメに関しては、全編を通して一瞬の画面に多くの情報をイヤミ無く盛り
込んでいて、しかもそれが実に緻密に美しく書き込まれていて、一瞬たりとも目
の離せない画の連続でした。
それと、各部の演出の凄さに川上さんの演技力(キャラへの理解力)が相まって
本当に素晴らしかったです。(ただアニメじゃ久川さんの腕の見せ所が少なくて
チョットがっかり。)

この『名作』としての面と『破綻を来した問題作』の面が、“心を動かされた”
けど“気持ち悪い”という強い印象になったんだと思います。


それとやはり川上とも子さんは凄かったです!!
ゲームでも観鈴を初めて見た時から「難しそうな役だなぁ。」って思ってたけど
アニメになってその濃さが最初の最初ワンシーン目から超全開で、あの背景を背
負い健気に生きる娘とその苦悩を見事過ぎる程に演じていました。
勿論そこにはライターや演出の妙があるんだと思いますが、ゲームの時より観鈴
の尋常じゃない境遇をプンプン臭わせる絵と演技は「見事!」としか言いようが
なかったです。

その中でも特に三つのシーンを挙げると、
まづ、物語の途中の『観鈴がトランプをしてて泣き出す』シーン。
MINはこういった発作を持つ人とつき合っていた時期が有ったのですが、観鈴のこ
の時の様子はその苦しみと“どうしようもなさ”を実に生々しく伝わって来て、
思わず息をのむシーンでした。

それと、第10話で往人が出ていった後の観鈴。
「今日迄ずっと独り・・。明日からも・・・。結局私が頑張っても人に迷惑かけ
るだけで、良い事なんて一つも無いのに。今迄の私がずっとそうだったみたいに、
諦めていたら良かったんだ。誰も好きにならずに。」と
誰にも、何にも、自分自身にすらはばかる事無く、天を仰ぎ号泣し、ダダをこね
る子供の様に手足をバタバタさせてその足が机に当たる・・・あのシーン。
この作中で最も“痛い”シーンでした。

上記の二シーンは川上さんの演技力の凄さと演出が相まって、流れの中で実に心
に残るシーンでしたが、もう一つ・・・。
それは、観鈴が敬介に連れ去られる途中で気づき暴れて海辺に落ちた後、晴子に
向かって歩いて来るシーン。
もう幼い子供に戻ってしまった観鈴が、必死に両手を広げて泣きながら晴子も求
め歩んでくる・・・、そして次の瞬間聞こえた「ママぁ!」の叫び声。
あの無声の視覚状況演出、そして観鈴の幼さと必死さを見事に表現したあの一言
は一発で泣かせる素晴らしい情景でした。
                              2005年7月4日

小屋の入口へ
inserted by FC2 system